この記事では、住友林業(1911)について、配当利回り、PERの割安度、EPS成長率の推移をもとに、今後の株価変動リスクと成長期待を総合的に整理しています。
こんな方に特におすすめです!
- 配当狙いで中長期保有を考えている方
- EPS成長を重視して「割安成長株」を探している方
- 日本、米国、オーストラリアの住宅市場に興味がある方
こうした方にとって、現在の住友林業がどれだけ魅力的な水準にあるかを見極めるためのヒントになるはずです。
また、株価に影響を与える「為替リスク」「米国住宅ローン金利」「ウッドショックリスク」など、注意すべきポイントもしっかり押さえていますので、投資判断の参考材料としてぜひご活用ください。
「この記事は売買を推奨するものではなく、投資判断は自己責任でお願いします」
配当利回り
※株価4200円基準
年度 | 配当金(四季報) | 配当利回 |
---|---|---|
2024年12月 | 145円 | 約3.45% |
2025年12月 | 182円 | 約4.33% |
2026年12月 | 200円 | 約4.76% |
2027年12月予 | 270円 | 約6.43% |
2028年12月予 | 280円 | 約6.67% |
2029年12月予 | 290円 | 約6.90% |
2030年12月予 | 300円 | 約7.14% |
2027年に1株配当が270円となれば、配当利回りは約6.4% と非常に高水準です。
この利回りは、長期投資家にも非常に魅力的で市場の注目を集める可能性が高くなります。
(配当性向 約30%)
※2027年以降はIR資料から予想
PERから割安か判断する
■ 株価4200円で2026年EPS(708.5円)をもとにした現在のPER
→ 現在のPERは5.9倍
現在のPERは割安と言えるのか、比較して考えます。
過去平均・業界平均との比較
比較対象 | PER |
---|---|
現在(2026年EPSベース) | 5.9倍 |
過去3年平均PER | 7.8倍 |
プライム建設業平均(25年3月) | 14.2倍 |
割安度の評価
評価ポイント | 内容 |
---|---|
過去平均PER7.8倍に対して | 約24%割安 |
業界平均PER14.2倍に対して | 約58.5%割安 |
EPS成長率(25年→26年) | +17.9%と高成長 |
→ 通常、EPS成長率が10%以上あればPER10倍前後でも妥当とされるため、
今のPER5.9倍は極めて割安水準と判断できる。
EPS成長率
年度 | EPS(四季報) | 成長率(前年比) |
---|---|---|
2024年12月 | 569.4円 | ― |
2025年12月 | 601.0円 | +5.5% |
2026年12月 | 708.5円 | +17.9% |
2027年12月予 | 880.0円 | +24.2% |
2028年12月予 | 920円 | +4.5% |
2029年12月予 | 960円 | +4.3% |
2030年12月予 | 1,000円 | +4.2% |
※2027年以降はIR情報から予想
EPS推移の理由
① 2024~2027年は「急成長フェーズ」
- 海外住宅事業、森林資源事業への投資拡大により、収益基盤を大きく拡大中。
- 米国を中心とした住宅需要、脱炭素社会に向けた森林保有戦略が進行。
- このため、EPS成長率は20%前後と高水準で推移。
② 2028年以降は「安定成長フェーズ」
- 新規投資は一巡し、拡大した事業群からの安定的な収益回収フェーズに。
- 成長速度は緩やかになるが、高いROE(自己資本利益率15%以上)を維持しながら安定拡大を目指す。
- 海外住宅市場も人口増の恩恵で底堅く、リフォーム・リノベーション領域にも注力。
③ 財務・資本政策の転換
- 急拡大フェーズから、株主還元(配当・自社株買い)重視の政策にシフト。
- フリーキャッシュフローの積み上げを活かし、株主へのリターンを強化する方向性。
3年平均PERから理論株価を計算
※理論株価は毎年2月の本決算発表の日。
年度 | EPS(四季報) | 理論株価(PER7.8倍) |
---|---|---|
2024年12月 | 569.4円 | 約4,440円 2023年2月 |
2025年12月 | 601.0円 | 約4,688円 2024年2月 |
2026年12月 | 708.5円 | 約5,530円 2025年2月 |
2027年12月予 | 880.0円 | 約6,864円 2026年2月 |
2028年12月予 | 920円 | 約7,176円 2027年2月 |
2029年12月予 | 960円 | 約7,488円 2028年2月 |
2030年12月予 | 1,000円 | 約7,800円 2029年2月 |
※2027年以降はIR資料から予想
※2026年2月に理論上6864円になっている計算
株価が大きく変動する要因
〜日本、アメリカ、オーストラリアで事業展開する住友林業が影響を受けやすいポイント〜
住友林業の好材料(ポジティブ要因)
① 米国住宅市場の回復+FBR利下げ見通し
- 住宅ローン金利が下がれば米国住宅需要が回復
- 住友林業は米国戸建販売が収益の柱であり、恩恵が大きい
② 脱炭素社会への貢献とESG評価の向上
- 世界的なESG投資マネー流入により、森林資源を持つ住友林業への資金流入期待
- 「Mission TREEING 2030」でCO₂固定型ビジネスを強化中
③ 業績拡大+配当拡充
- EPSが今後3年間で約1.5倍に成長する見通し(2024年569円 → 2027年880円)
- 配当も増配基調で、配当利回り6%台に到達見込み
住友林業の悪材料(ネガティブ要因)
① 円高進行リスク
現実レート | 影響 |
---|---|
145円〜150円 | 現状有利。EPS上振れ余地あり |
130円〜135円 | 中計作成時の保守的前提。EPS880円は達成可能水準 |
120円以下 | 多少の押し下げリスク。ただし米国事業のコストもドル建てなので打撃は限定的 |
② 木材価格の再高騰(ウッドショックリスク)
- 供給不足や自然災害(北米山火事など)で木材価格が高騰すれば、建築コスト増 → 利益圧迫の可能性
- 過去2021年頃にも2〜3倍の価格急騰を経験済み
③ 米国住宅ローン金利の高止まり
- FBR利下げが遅れれば、住宅ローン金利が高止まりし、米国住宅需要の本格回復が遅れるリスク
- 現在も30年ローン金利は6.8%超と高水準
住友林業は割安成長+高配当が狙える銘柄
住友林業(1911)は、現在の株価に対してPERが5.9倍と、過去平均や業界平均に比べて大きく割安な水準にあります。
今後はEPSの成長とともに、配当利回りも6%台まで上昇する見込みで、
中長期で安定成長と高配当を狙える銘柄。
もちろん、為替リスクや木材価格の変動など注意点もありますが、
それを踏まえても、今後の成長期待は十分に高いと考えられます。