コメ兵ホールディングス(2780)について配当利回り・PERの割安度・EPS成長率の推移をもとに、今後の株価の伸びしろと投資リスクを整理しています。
こんな方に特におすすめです!
- EPS成長に着目して“割安株”を探している方
- 中古・リユース市場の拡大をチャンスと捉えている方
- 「PER5倍台〜7倍台」の放置成長株に注目している方
中古品やブランド品のリユース市場が、環境意識や物価上昇を背景に拡大するなか、
「コメ兵」という地味ながらも着実に成長を続けている銘柄を分析しました。
本記事では、
中期経営計画の進捗、EPS成長シナリオ、今後の配当利回り予想をふまえ、
「PER5倍台」の水準が本当に割安か?
2027年にかけてのターゲット株価は?
といった点を丁寧に検討していきます。
さらに、投資判断を下す上での注意点として、
「円高リスク」「為替によるブランド品相場」「在庫リスク」なども触れています。
配当利回り
(株価2,867円基準)
年度(期) | 1株配当(円) | 配当利回り(約) |
---|---|---|
2023年3月期 | 60円 | 約2.09% |
2024年3月期 | 88円 | 約3.07% |
2025年3月期(予) | 104円 | 約3.63% |
2026年3月期(推定) | 120円 | 約4.18% |
2027年3月期(推定) | 130円 | 約4.53% |
2028年3月期(推定) | 135円 | 約4.71% |
2029年3月期(推定) | 140円 | 約4.88% |
※配当性向は25〜30%と想定(EPSとのバランスから試算)
2024年3月期の配当は88円で、前期比+28円の大幅増配となりました。
その後も業績拡大に伴い、2025年は104円予想とさらに伸びる見込みです。
仮にこの成長が続き、2027年に130円まで伸びれば、利回り4.5%超の高配当株に成長する可能性もあります。
PERから割安か判断する
■ 株価2867円で2026年EPS(511円)をもとにした現在のPER
→ 現在のPERは5.6倍
現在のPERは割安と言えるのか、比較して考えます。
過去平均・業界平均との比較
比較対象 | PER |
---|---|
現在(2026年EPSベース) | 5.6倍(= 2,867 ÷ 511) |
過去3年平均PER | 9.8倍 |
小売業界平均(スタンダード市場・類似業態) | 約15.0倍(参考) |
割安度の評価
評価ポイント | 内容 |
---|---|
過去平均PER 9.8倍に対して | 約43%割安 |
業界平均PER15.0倍に対して | 約62.7%割安 |
EPS成長率(2025→2026) | +30.8%と急成長 |
通常、EPS成長率が10%以上ある企業は、PER10倍以上でも妥当とされることが多いですが、
現在のPER5.6倍は「極めて割安」な水準と判断できます。
EPSも配当も伸びているなかで、放置されている成長株の典型例といえます。
EPS成長率
年度(期) | EPS(1株利益) | 成長率(前年比) |
---|---|---|
2022年3月期 | 206.2円 | ― |
2023年3月期 | 338.3円 | +64.1% |
2024年3月期 | 458.7円 | +35.6% |
2025年3月期(予) | 390.5円 | △14.9% |
2026年3月期(予) | 511.0円 | +30.8% |
2027年3月期(推定) | 610円 | +19.4% |
2028年3月期(推定) | 660円 | +8.2% |
2029年3月期(推定) | 700円 | +6.1% |
2030年3月期(推定) | 730円 | +4.3% |
※2027年以降はIR情報から予想
① 2024~2027年は「急成長フェーズ」
2024年以降、RODEO DRIVEやRs-JAPANの買収によるスケール拡大や、海外拠点の出店、新規法人取引網の整備が進行。
これにより、営業利益・純利益ともに中期経営計画通りの伸びが期待されており、EPSも年20〜30%の高成長が予想される。
ただし、2025年3月期のEPS(390.5円)は、当初の507円から下方修正された。
これは以下の要因によるもの
- 為替変動や中国経済の減速により、高額ブランド品(時計・バッグ)の法人相場が軟調に推移
- 法人比率の増加や仕入構成の変化で粗利率が一時的に悪化
- 出店費用・人件費増などにより、販管費が想定以上に増加
これらは一過性要因であり、2026年3月期にはEPS511円への急回復が見込まれている。
② 2028年以降は「安定成長フェーズ」
新規投資は概ね一巡し、拡大したブランド・リユース事業と海外拠点が安定的に収益を生むフェーズへ。
在庫回転率・粗利率の最適化や、AI活用による仕入・販売の効率化も進展。
その結果、EPSの成長ペースはやや落ち着くが、ROEは13~15%水準を維持しつつ、
堅実な成長を継続。越境ECや香港オークションの拡張など、海外収益の下支えも期待される。
③ 財務・資本政策の転換
M&A主体の拡大期を経て、2025年以降はフリーキャッシュフローの増加を活かした株主還元重視のステージへ移行。
既に2024年には配当88円→104円へと増配実施。今後も利益成長に連動した増配が期待される。
加えて、自社株買いやDOE目標の導入など、株主との対話に応じた資本政策への転換が注目される。
3年平均PER(9.8倍)から理論株価を計算
年度(期) | EPS(1株利益) | 理論株価(PER9.8倍) |
---|---|---|
2023年3月期 | 458.7円 | 約4,495円 2022年5月 |
2024年3月期 | 390.5円 | 約3,825円 2023年5月 |
2025年3月期(予) | 390.5円 | 約3,825円 2024年5月 |
2026年3月期(予) | 511.0円 | 約5,008円 2025年5月 |
2027年3月期(推定) | 610円 | 約5,978円 2026年5月 |
2028年3月期(推定) | 660円 | 約6,468円 2027年5月 |
2029年3月期(推定) | 700円 | 約6,860円 2028年5月 |
2030年3月期(推定) | 730円 | 約7,154円 2029年5月 |
株価が現在値2,867円だとすれば、2026年以降の理論株価に比べて大きく割安
EPS610円×PER9.8倍 = 約5,978円 は、2027年の「中期目標利益」が達成された場合の目安値
今後の評価が再び9倍台に戻るだけでも株価倍増の余地あり
コメ兵にとっての好材料(ポジティブ要因)
① 越境EC・グローバルオークションの拡大
- 香港・シンガポールを拠点にしたグローバルな商品流通網が拡大中。
- 中古ブランド品の需要が高い東南アジア・北米富裕層からの注文が増加。
- 特にライブコマースやスマホアプリ経由の購入が定着し始めている。
② ブランド中古市場の構造的成長
- 物価高・円安・サステナビリティ意識の高まりが背景にあり、**「新品よりリユース」**という価値観が広がっている。
- SDGsやエシカル消費の流れと合致し、個人買取・売却のハードルが下がった。
- 経済不安がある中でも、資産性のあるブランド品を現金化したい需要も拡大。
③ M&A効果と経費吸収フェーズへの移行
- RODEO DRIVE、Rs-JAPAN買収の統合効果が2026年以降に本格化。
- 現在はのれん・販管費の負担があるが、2027年以降は利益貢献フェーズへ。
- 在庫回転率の向上、法人チャネルの拡大により、収益体質が安定化していく見込み。
コメ兵にとっての悪材料(ネガティブ要因)
① 為替変動リスク(円高方向)
為替レート | 影響 |
---|---|
145円〜135円 | 輸出入差益が縮小し、海外販売がやや割高に |
135円〜120円 | 円高により、仕入コストが上昇(国内法人が買い控える懸念) |
120円以下 | 越境ECや香港販売が目減りし、EPS圧迫要因に |
② 法人比率の増加による粗利率の悪化
- 2025年3月期は、法人向け販売比率が高まり、粗利益率が低下。
- 特に、仕入単価の上昇・相場調整が重なると収益性がブレやすい。
- 市場価格次第で、赤字在庫リスクも無視できない。
③ 高額ブランド商品の価格変動リスク
- 時計やバッグなど一部ブランド品は、国際相場や投資マネーに左右されやすい。
- 景気悪化・金利上昇・仮想通貨下落などの要因で「売却ラッシュ」が起きると、価格崩れの連鎖に。
- 在庫を抱える業態として、相場変動への対応力が問われる。
割安成長+高配当が狙える銘柄
コメ兵ホールディングス(2780)は、現在の株価に対してPERが5.6倍と、
過去平均や同業他社と比べて明らかに割安な水準にあります。
今後はEPSの回復・成長に伴って、配当利回りも4〜5%台へ上昇が見込まれ、
中長期で安定成長と高い株主還元が期待できる銘柄。
もちろん、為替変動や法人取引による粗利率の変動リスクはありますが、
それらを考慮しても、今の株価水準は仕込み妙味が十分にあると判断できます。