積水ハウス(1928)について、配当利回り・PERの割安度・EPSの成長性などをもとに、今後の株価上昇ポテンシャルと投資リスクを整理しています。
こんな方に特におすすめです!
- 配当利回りとEPSの両面から長期安定株を探している方
- 米国住宅事業の回復を中期成長の柱と捉えている方
- 「PER8倍放置 × 配当利回り4%超」状態に割安感を感じる方
国内ではストック型(賃貸・リフォーム)の安定収益、米国ではMDCを通じた住宅販売が本格化し、
「住宅インフラ×配当成長」という二重の強みをもつ成長株として評価が高まりつつある積水ハウス。
本記事では、
中期業績の見通し、EPS成長シナリオ、今後の理論株価や配当予想に加え、
- PER8倍台が妥当と言えるのか?
- 2027年時点でのターゲット株価は?
といったポイントについて詳しく検討していきます。
配当利回り
年度 | 配当金(年間) | 配当利回り |
---|---|---|
2024年1月 | 123円 | 約3.76% |
2025年1月 | 135円 | 約4.12% |
2026年1月 | 144円 | 約4.39% |
2027年1月 | 154円 | 約4.70% |
2028年1月 | 170円(※) | 約5.19% |
2029年1月 | 190円(※) | 約5.80% |
2030年1月 | 210円(※) | 約6.41% |
※2028年以降は配当性向30%+EPS成長トレンド(2025年358円 → 2027年385円)を参考にした予想値です。
2027年1月期の配当は154円、利回り4.70%。
今後も年+10円前後の増配ペースが期待でき、2030年には6.4%超の利回りも視野に入る。
EPS成長が続けば、高配当かつ割安バリュー株として再評価される可能性が高いです。
PERから割安か判断する
■株価3,276円で2027年EPS(385円)をもとにした現在のPER
→ 現在のPERは8.5倍
現在のPERは割安と言えるのか、比較して考えます。
過去平均・業界平均との比較
比較対象 | PER |
---|---|
現在(2027年EPSベース) | 8.5倍 |
過去3年平均PER | 10.3倍 |
プライム建設業平均(25年3月) | 14.2倍 |
割安度の評価
評価ポイント | 内容 |
---|---|
過去平均PERに対して | 約17%割安 |
業界平均PERに対して | 約40%割安 |
EPS成長率(2026→2027年) | +7.5%成長見込み |
EPS成長率に対してPERは「適正」であるが、
- 過去3年平均PER(10.3倍)と比べても17%割安
- 業界平均(14.2倍)と比べると40%も割安
という点を加味すれば、
むしろ「EPS成長もありながら割安に放置されている」といった評価が妥当です。
EPS成長率
年度 | EPS(四季報) | 成長率(前年比) |
---|---|---|
2024年1月期 | 309.3円 | — |
2025年1月期 | 336.0円 | +8.6% |
2026年1月期 | 358.0円 | +6.5% |
2027年1月期 | 385.0円 | +7.5% |
2028年1月期 | 400円(仮想) | +3.9% |
2029年1月期 | 420円(仮想) | +5.0% |
2030年1月期 | 440円(仮想) | +4.8% |
※2028年以降は、EPS成長の過去トレンドと配当余力・ROE想定などをもとに仮想推計したものです。
EPS推移の理由
① 【米国住宅事業の拡大とMDCのフル寄与】
- 2023年に買収した米MDCホールディングスがフル連結され、売上・利益に大きく貢献。
- 特に2025〜2027年は、15,000戸規模の販売計画を達成できるかが鍵で、実現すればEPSを大きく押し上げ。
- 「米国春商戦」への在庫集中投入や低金利局面への期待も追い風に。
② 【国内賃貸・都市再開発などストック収益の安定成長】
- 単発の戸建て販売だけでなく、賃貸住宅・都市再開発・リフォームなどの継続収益が拡大中。
- 国内外のバランスを取りながら、「景気変動に強い収益構造」へのシフトが進行。
- 都市再開発では営業外収益(持分法)での利益寄与もあり、会計上のEPSを底上げしている。
③ 【自社株買いと財務効率の改善(ROE改善)】
- 2024年までは財務健全性を優先していたが、今後は自社株買いの再開余地あり(決算でも言及)。
- 買収後の金利負担は安定化しており、ROE(株主資本利益率)も10%台を維持。
- 自社株買いや利益の内部留保が効き、1株あたり利益(EPS)の成長に直結。
3年平均PERから理論株価を計算
年度(期) | EPS(1株利益) | 理論株価(PER10.3倍) |
---|---|---|
2023年1月期 | 276.6円 | 約2,849円 2022年3月 |
2024年1月期 | 309.3円 | 約3,185円 2023年3月 |
2025年1月期(予) | 336.0円 | 約3,461円 2024年3月 |
2026年1月期(予) | 358.0円 | 約3,687円 2025年3月 |
2027年1月期(予) | 385.0円 | 約3,966円 2026年3月 |
2028年1月期(推定) | 400円 | 約4,120円 2027年3月 |
2029年1月期(推定) | 420円 | 約4,326円 2028年3月 |
2030年1月期(推定) | 440円 | 約4,532円 2029年3月 |
株価が現在値3,276円は、2025年3月の理論株価3688円と比べて割安
今後の積水ハウスにとっての好材料(ポジティブ要因)
① 米国住宅金利の低下=MDC販売加速
- FRBが2025年9月以降に利下げする可能性が80%以上
- 住宅ローン金利が下がれば、米国MDCの販売戸数が加速
- EPS・売上ともに上方修正が期待される局面
② 配当の安定増加と利回り水準の魅力化
- EPSに連動し配当も右肩上がり(2027年に154円→将来200円超)
- 現在株価3,276円でも配当利回りは4.3〜6%台へ上昇余地あり
- 高配当かつ成長株という**“二刀流”評価が強まる可能性**
③ 自社株買い再開の可能性と需給改善
- 2025年は財務優先で一時停止だが、売却益次第で再開の余地あり
- 自社株買いが発動されれば、株価の底堅さや上値余地が強化
今後の積水ハウスにとっての悪材料(ネガティブ要因)
① 米国の金利高止まり・住宅需要の冷え込み
- FRBが利下げを延期すれば、米住宅ローン金利は6%台後半に据え置き
- 住宅購入の見送りが進み、MDCの計画達成が難航する恐れ
② 為替変動と建設資材コスト上昇
- トランプ政権による対中関税強化リスクなどが残る
- 円高(135円方向)になると、海外売上の円換算ベースが目減り
- 木材・鉄鋼など建設資材の価格上昇も利益圧迫要因
③ 国内住宅市場の縮小と富裕層依存リスク
- 少子高齢化により1stレンジ向け住宅需要は長期的に減少傾向
- 積水は富裕層中心だが、1stレンジ向け再参入はまだ模索段階
- 高価格帯依存が進むと、景気悪化時の打撃が大きくなる懸念
割安成長株としての魅力と今後の展望
積水ハウスは「配当と成長のバランスが取れた実力株」。
今の株価水準(3,276円)は、EPSや配当成長を考慮すれば割安圏であり、
中長期では3,800〜4,200円台の株価回帰が十分に現実的と判断されます。
長期の資産形成を考える投資家にとって、注目すべき中核銘柄の一つです。