AGC(5201)について、赤字からのV字回復、PERの割安度、EPSの継続成長力をもとに、今後の株価上昇ポテンシャルと投資リスクを整理していきます。
こんな方に特におすすめです!
✅ EPS成長と高配当を両立する中長期銘柄を探している方
✅ 半導体や医薬バイオなど成長産業に着目している方
✅ 「PER9倍台×配当利回り4.7%」に惹かれる方
AGCはガラス・化学素材の大手企業ですが、近年は電子材料やバイオ医薬品の受託製造など高収益事業へと大きく舵を切っています。
2024年の赤字決算で一度バランスシートを整理し、2025年からは黒字回復・成長軌道に再乗車しています。
本記事では、
・PER9倍台が割安と言える理由
・2027年以降のEPSと株価目標水準
といったポイントについて解説していきます。
配当利回り
基準株価は4464円で計算
年度 | 配当金(四季報等) | 配当利回り |
---|---|---|
2024年12月 | 105円 | 2.35% |
2025年12月予 | 210円 | 4.70% |
2026年12月予 | 210円 | 4.70% |
2027年12月予 | 220円 | 4.93% |
2028年12月予 | 230円 | 5.15% |
2029年12月予 | 240円 | 5.37% |
2030年12月予 | 250円 | 5.60% |
2025〜2026年は高配当4.7%台キープ
配当性向:約40~50%

中期的にEPSが500円台まで伸びれば、利回り5%超えの高配当成長へ!!
PERから割安か判断する
(株価4,465円・EPS=461円基準)
比較対象 | PER | 備考 |
---|---|---|
現在(2026年EPS基準) | 約9.7倍 | =4,465 ÷ 461 |
過去3年平均PER | 14.8倍 | 株価水準の中立ライン |
プライム上場・ガラス土石平均 | 16.4倍 | 業界全体の平均評価水準 |
割安度の評価
評価ポイント | 内容 |
---|---|
現在PER(2026年EPS基準) | 約9.7倍(= 4,465 ÷ 461) |
過去3年平均PERとの比較(14.8倍) | 約34%割安 |
業界平均PERとの比較(16.4倍) | 約41%割安 |
EPS成長率(2025→2026) | 約**+22%成長**(377円 → 461円) |

通常、EPS成長が10%以上ある銘柄はPER15倍でも許容されることが多いため、
現在のPER9.7倍は“割安”と判断できます。
特に「EPSが2年連続で力強く成長している」上に、「PERは業界平均を大きく下回っている」ため、
今の株価は“成長を織り込まれていない状態”=見直し買いが入る余地が大きい水準。
EPS成長率
年度 | EPS(四季報) | 成長率(前年比) |
---|---|---|
2024年12月 | ▲443円 | ― |
2025年12月 | 377.4円 | +185%(黒字転換) |
2026年12月 | 461円 | +22.1% |
2027年12月 | 500円 | +8.5% |
2028年12月 | 530円 | +6.0% |
2029年12月 | 560円 | +5.7% |
2030年12月 | 590円 | +5.4% |
※2027年以降はIR情報から予想
EPS推移の理由
① 不採算事業の整理完了による「損失体質の脱却」
- 2024年の▲443円赤字は、欧州ガラス・電子材料の減損と一時コストの集中処理が主因。
- これにより、2025年以降は「利益が素直に出る体制」へと転換。
- 生産体制のスリム化・資本効率の向上で、ROEやROCEも回復傾向。
▶ この効果は単年ではなく、2027年以降のEPSの下支えにもなる構造改革。
② 成長セグメント(電子・バイオ)の拡大が本格化
- 電子材料:半導体のEUVマスク材、化学品、次世代ディスプレイ材料の需要拡大。
- ライフサイエンス:CDMO(医薬品受託製造)が高利益率で拡大、大型投資も継続中。
- 特にバイオCDMOは「毎年20%以上の成長見込み」とされ、EPS成長の中核を担う分野に
▶ 2027〜2030年のEPS500円台への成長は、このセグメントが牽引役。
③ 外部環境の改善(円高+資源安+関税和らぎ)
- 為替が125〜135円の円高レンジにシフト → 原材料輸入コストの圧縮
- エネルギー価格(天然ガス・電気代)の高騰局面が落ち着き、工場のコスト負担が軽減
- トランプ政権再来でも関税交渉が緩和方向に進み始めており、日米摩擦はピークを越えた可能性
▶ 利益率改善の追い風として、2027年以降のEPS安定成長に寄与

「赤字の年に痛みを出し切り、そこからは成長加速」という明確なストーリー
3年平均PERから理論株価を計算
(PER14.8倍基準)
年度(期) | EPS(1株利益) | 理論株価(PER14.8倍) |
---|---|---|
2024年12月期 | ▲443円 | ―(赤字のため算出不可) |
2025年12月期(予) | 377.4円 | 約5,582円 |
2026年12月期(予) | 461円 | 約6,823円 |
2027年12月期(仮) | 500円 | 約7,400円 |
2028年12月期(仮) | 530円 | 約7,844円 |
2029年12月期(仮) | 560円 | 約8,288円 |
2030年12月期(仮) | 590円 | 約8,732円 |
- 現在株価:4,465円
- 2026年の理論株価:6,823円(+52.8%)
- 2027年以降:最大+95%程度のアップサイドも視野
EPSがこのまま推移し、PERだけ平均水準(14.8倍)に戻るだけで 株価は1.5〜2倍へ近づく余地あり。
今後のAGCにとっての好材料(ポジティブ要因)
① 半導体・バイオ関連市場の回復
- 半導体製造向け素材(EUVマスクブランクスなど)や、バイオ医薬品CDMO事業がAGCの利益成長の主力に
- 2026年以降のEPS成長は、これらの高付加価値事業の拡大がカギ
② 円高進行による原材料コストの低下
- 為替が125〜135円水準に向かえば、輸入原料・資材の調達コストが圧縮
- 特にガラス・化学品などの燃料系コスト削減効果がEPS押し上げ要因に
③ 赤字事業のリストラ完了による収益構造の改善
- 欧州建材ガラスなど不採算事業の縮小で、構造的な赤字圧力が排除済み
- 固定費削減と選択と集中によって、今後の増益は「質の高い成長」になる可能性が高い
今後のAGCにとっての悪材料(ネガティブ要因)
① 中国・欧州の建材需要の長期低迷
- 欧州では住宅着工の減少+エネルギー高止まりが依然リスク
- 中国は構造不況が長引けば、建材・自動車用素材の需要鈍化が懸念材料
② トランプ政権による日米通商圧力
- 「日本車・部品に再度の高関税」が継続すれば、完成車メーカーを通じてAGCへの発注減少のリスク
- 一部素材にも関税波及すれば、価格競争力に影響
③ 半導体投資サイクルの想定外の鈍化
- 世界的に「在庫調整→投資再開」の流れと見られているが、景気後退や地政学リスクが再燃すれば遅延
- AGCの電子材料部門の伸びが予想未満となるリスクもゼロではない
AGCは2024年に赤字決算となりましたが、不採算事業の整理と高成長分野(半導体・バイオ)の伸びにより、2025年は黒字回復、2026年以降も安定成長が見込まれます。
現在の4465円だとPERは約9.7倍と割安で、配当利回りも約4.7%と高水準。過去平均PERに戻るだけで株価6,800円台が視野に入るため、中長期で見れば非常に魅力ある投資候補といえます。