双日(2768)について、非資源分野の成長と株主還元強化、割安なPER水準を軸に、今後の株価上昇ポテンシャルと投資リスクを整理していきます。
こんな方に特におすすめです!
✅ EPS成長と高配当を両立する中長期銘柄を探している方
✅ 資源依存から脱却しつつある商社株に注目している方
✅ 「PER6倍台×配当利回り4.8%」に惹かれる方
双日は従来の資源頼みの体質から脱却し、エネルギー・ヘルスケア・化学といった非資源の高収益事業を中核に据える構造改革を進めています。
2025年にはEPS過去最高を更新し、2026年以降も増益・増配が継続見通し。
にもかかわらず、株価はPER6倍台と放置されており、明らかな評価ギャップが存在します。
本記事では、
・PER6倍台が“割安すぎる”と判断できる根拠
・2027年以降のEPSと理論株価水準
といったポイントを中心に、双日の中長期的な魅力を解説していきます。
配当利回り
(株価3,463円基準)
年度(3月期) | 配当金(予測) | 配当利回り |
---|---|---|
2025年 | 150円 | 4.3% |
2026年 | 160円 | 4.6% |
2027年予想 | 165円 | 4.8% |
2028年予想 | 170円 | 4.9% |
2029年予想 | 175円 | 5.1% |
2030年予想 | 180円 | 5.2% |

業績が今の水準伸びるなら「5%台の利回り+業績安定」という極めて魅力的な長期保有銘柄と評価できます。
※2027年以降はEPS成長率から予想
PERから割安か判断する
■ 株価円で2027年EPS(570円)をもとにした現在のPER
→ 現在のPERは6.07倍
現在のPERは割安と言えるのか、比較して考えます。
過去平均・業界平均との比較
項目 | 数値 |
---|---|
現在PER(2027年EPS基準) | 約6.07倍(=3463 ÷ 570) |
過去3年平均PER | 6.8倍 |
業界平均PER(卸売業) | 12.2倍(2025年3月) |
割安度の評価
評価項目 | 内容 | 補足 |
---|---|---|
過去3年平均PER比 | 約9%割安 | 過去PER6.8倍に対し、現在6.07倍(2027年EPS基準) |
業界平均PER比(卸売業12.2倍) | 約50%割安 | 業界平均の半値近くで放置されている状態 |
EPS成長率(2026→2027) | +3.4%前後 | 安定成長 |
現在はPER6倍台・利回り5%近く・EPS右肩上がりという状況

PER8〜9倍で株価+30〜50%上昇余地
EPS成長率
年度 | EPS(予測) | 成長率(前年比) |
---|---|---|
2025年(実績) | 518.4円 | — |
2026年 | 551.2円 | +6.3% |
2027年 | 570円 | +3.4% |
2028年 | 590円 | +3.5% |
2029年 | 610円 | +3.4% |
2030年 | 630円 | +3.3% |
※2027年以降はIR情報から予想
EPS推移の理由
① 非資源事業の拡大と収益化の加速【構造要因】
- 中計2026にて「非資源収益900億円超」を明言、2025年実績でも800億円突破済
- 特にエネルギー・ヘルスケア事業では、モノ売りからサービス提供型へのビジネスモデル転換が進行中。
- 化学分野でもトレード+事業投資が進み、複利的に利益を積み上げる構造へ。
➡️ 従来の資源依存から脱却し、安定成長が可能な“非資源収益エンジン”が確立されつつある。
② 海外収益源の回復・強化【地理的・ポートフォリオ面】
- 豪州中古車事業:上期黒字転換見込み。構造改革による回復力が強化。
- パナマやフィリピンなど、新興国の自動車流通網が収益に貢献。
- APAC地域全体での「仕入〜販売の最適化」が進んでおり、今後の地域分散+利益安定性が向上。
➡️ 特定地域・資源価格に依存しない「多拠点・非資源型」への変化がEPSの安定成長を支える。
③ 還元政策と資本効率の改善【財務的テコ】
- 自己株買いや累進配当を明言 → 発行株数が減るため、EPSが上昇しやすい構造。
- ROEは中計で12%超をキープ、ROICやキャッシュCROICなど資本効率指標にもこだわりが強い。
- 投資方針も「選択と集中」で大型案件へ集約。結果として利益効率の高い投資が進んでいる。
➡️ 同じ利益額でも“株主に残る利益”が増える仕組みで、EPSは自然に押し上げられていく。
3年平均PERで理論株価を計算
(PER6.8倍基準)
年度 | EPS | 理論株価 |
---|---|---|
2025年(実績) | 518.4円 | 約 3,524円 |
2026年(短信) | 551.2円 | 約 3,748円 |
2027年(予想) | 570円 | 約 3,876円 |
2028年(予想) | 590円 | 約 4,012円 |
2029年(予想) | 610円 | 約 4,148円 |
2030年(予想) | 630円 | 約 4,284円 |
EPSがこのペースで成長し、PERが3年平均の6.8倍に戻ると
株価は4,000円超えの水準が「普通」になる
今後の双日にとっての好材料
① 非資源分野の収益拡大と構造転換の定着
- エネルギー・ヘルスケア・化学など、モノ売りからサービス提供型へ移行中。
- 中期的に収益の安定性と再現性が高まり、PER上昇の材料となる。
② 高水準の株主還元方針(配当+自己株買い)
- 配当利回り4.5〜5%水準+累進配当+100億円規模の自己株買いを継続。
- 長期保有を促進し、需給面の支えにもなる。
③ PER・PBR水準の正常化余地(バリュー再評価)
- 現在のPER6倍台は業界平均の半値。PBR1倍超も中計で目標として明記。
- 成長+評価倍率の是正が同時進行すれば、株価の上値余地は大きい。
今後の双日にとっての悪材料
① 豪州炭鉱事業など資源系の収益下振れ
- 原料炭や機材トラブルでコスト増・収益悪化が長期化する可能性。
- 非資源成長でカバーできない場合、全体EPSの成長鈍化につながる。
② 米中摩擦・関税影響の長期化
- 米国との関税交渉(▲50億円影響見込み)は予断を許さず、輸出入系事業に不透明感。
- 特にアジア太平洋地域から米国への供給モデルに影響が出ると懸念。
③ ベトナムなど新興国内需の停滞
- 双日の成長ドライバーであるアジア新興国での自動車・流通事業が思惑通り成長しない場合、想定EPSに届かないリスクあり。
双日(2768)は非資源事業の拡大や株主還元強化により、EPSは今後も安定成長が見込まれます。
現在のPERは業界平均の半分以下と割安水準にあり、評価修正の余地は大きいです。

高配当と成長性を両立した中長期投資に適した銘柄といえます