信越化学(4063)について、EPS成長性・PERの割安度・円高メリットといった観点から、今後の株価成長ポテンシャルと想定される投資リスクを整理しています。
こんな方に特におすすめです!
- 業績のブレが少ないグローバル成長株を長期で保有したい方
- 円高局面で恩恵を受けやすい銘柄を探している方
- 「PER14倍 × EPS安定成長 × 将来配当利回り3%超」に魅力を感じる方
半導体用シリコンウエハーや塩ビで世界シェアトップを誇る信越化学は、今後も年5%前後のEPS成長が見込まれ、PERが過去平均(17倍)に戻るだけでも大きな株価上昇余地があります。
本記事では、長期EPSシナリオ、理論株価、配当の将来利回り予想に加え
- なぜ今のPER水準は割安と判断できるのか?
- 2030年時点での目標株価と利回りは?
といった観点から詳しく解説していきます。
配当利回り
年度(12月期) | 予想配当金 | 利回り(株価4,354円) |
---|---|---|
2024年実績 | 108円 | 約2.48% |
2025年予想 | 112円 | 約2.57% |
2026年予想 | 118円 | 約2.71% |
2027年予想 | 124円 | 約2.85% |
2028年予想 | 130円 | 約2.98% |
2029年予想 | 136円 | 約3.12% |
2030年予想 | 143円 | 約3.28% |
※EPSは年+5%で成長した場合の想定、配当性向38%は一定と仮定

配当目的での中長期保有に適した銘柄であり、年々の増配ペースも緩やかで信頼性がある。
※2027年以降はIR資料から予想
PERから割安か判断する
■ 株価円で2027年EPS(296円)をもとにした現在のPER
→ 現在のPERは14.7倍
現在のPERは割安と言えるのか、比較して考えます。
過去平均・業界平均との比較
比較対象 | PER |
---|---|
現在(2027年EPSベース) | 14.7倍 |
過去3年平均PER | 17.2倍 |
科学業平均(25年4月) | 16.8倍 |
割安度の評価
評価軸 | 判定 |
---|---|
過去平均PER比 | 約15%割安 |
業界平均PER比 | 約12%割安 |
EPS成長率 | +4.7% |
通常、EPSが成長していればPERは業界平均前後でも妥当とされるため、

現在のPER(14.7倍)は割安と評価できます
EPS成長率
年度 | EPS(推定) | 成長率(YoY) |
---|---|---|
2024年12月 | 約280.7円 | — |
2025年12月 | 約296.0円 | +5.4% |
2026年12月 | 約310.0円 | +4.7% |
2027年12月 | 約325.5円 | +5.0% |
2028年12月 | 約341.8円 | +5.0% |
2029年12月 | 約358.9円 | +5.0% |
2030年12月 | 約376.8円 | +5.0% |
※2027年以降はIR情報から予想
EPS推移の理由
① 世界的な半導体・電子材料需要の安定成長
- 信越化学は半導体用シリコンウエハーで世界トップシェア。
- 生成AIやEV、自動運転、データセンターの拡大などによって、半導体の構造的需要増が続いている。
- 景気循環の影響はあるが、長期では需要が右肩上がりであり、設備投資効果も持続しやすい。
② 塩ビ(PVC)・機能材料のグローバル展開と高採算構造
- 建材や配線に使われる塩ビ(PVC)は、信越化学が北米・アジアなどで生産拠点を最適化しており、為替耐性とコスト競争力が強い。
- また、特殊シリコーンなどの高付加価値製品の構成比が上昇しており、利益率の改善と収益源の多角化が進んでいる。
- 景気減速局面でも価格支配力がある製品群を保有。
③ 財務体質の強さと株主還元方針の安定性
長期で見た場合、安定成長型のグローバル優良企業として市場から高PERを許容されやすい。
自己資本比率が高く、有利子負債も少ないため、景気変動への耐性が非常に高い。
EPS成長に合わせて、配当性向を一定に保ったまま増配も可能。

よって急成長ではないが、高い確度で年+5%前後を持続できるます
3年平均PERから理論株価を計算
3年平均PERは 17.2倍
年度(期) | EPS(推定) | 理論株価 |
---|---|---|
2023年3月期 | 約240.8円(実績) | 約4,140円 |
2024年3月期 | 約280.7円(実績) | 約4,827円 |
2025年3月期 | 約296.0円(予想) | 約5,091円 |
2026年3月期 | 約310.0円(予想) | 約5,332円 |
2027年3月期 | 約325.5円(推定) | 約5,598円 |
2028年3月期 | 約341.8円(推定) | 約5,885円 |
2029年3月期 | 約358.9円(推定) | 約6,173円 |
2030年3月期 | 約376.8円(推定) | 約6,479円 |
EPSが順調に伸び、PERが平均(17.2倍)に戻るだけで、26年3月期は5332円台に到達。
今後の信越化学にとっての好材料
① 世界的な半導体需要の回復・拡大
生成AI、EV、自動運転などの普及により、シリコンウエハー需要が構造的に拡大中。
信越化学はこの分野でトップシェアを誇り、市況回復=業績上方修正の可能性大。
② 円高進行と米国事業の高採算性
2025年以降、FRBの利下げによる円高傾向が続けば、原材料コスト安+為替益が発生しやすい。
特に北米で展開する塩ビ・機能材料事業では、円高メリットが直撃しやすい。
③ 配当+PERの見直し余地
EPSは年+5%で成長見込み、増配余地あり。
また現在PERは14倍台で、業界平均16.8倍・自社平均17.2倍への回帰が期待される。
■ 今後の信越化学にとっての悪材料
① 半導体市況の再下落や供給過剰リスク
短期的な在庫調整や、競合メーカーの供給増が起これば、販売価格下落・ウエハー需要鈍化につながるリスク。
② 中国・アジアの建材需要鈍化(塩ビ市場)
中国不動産不況の長期化などにより、PVC需要が伸び悩むと、主力の塩ビ事業に影響が出る可能性。
③ PERが戻らない“評価定着リスク”
日本株全体の株価がが抑えられたままなら、PERが平均に戻らず、株価が過小評価されたまま推移する可能性も。
信越化学は半導体材料や塩ビなどで世界トップシェアを持ち、EPSは年5%前後の安定成長が期待されます。現在のPERは過去平均や業界平均と比べて割安で、増配余地も十分。
円高や半導体需要回復が追い風となり、中長期では配当+株価上昇の両面でリターンが見込める好位置にあります。

今後の評価見直しによる上昇余地は大きく、堅実な長期保有銘柄といえます。